現在、日本女性の10人に1人が鉄分不足による貧血に陥っていると言われています。
日々、仕事や家事に追われ、食生活がおろそかになったり、無理なダイエットによる栄養不足、月経過多など、その原因は様々です。
貧血とは?
赤血球の中に存在するタンパク質の一種、ヘモグロビンは、私たちが摂取した鉄分から生成され、肺から酸素を全身に行き渡らせる重要な役目を果たしています。このヘモグロビンの血中濃度が何らかの理由で低下することで貧血は起こります。
ヘモグロビンの濃度の正常値
成人男性の場合、13~17g/dL
成人女性の場合、12~16g/dL
採血検査では、上の写真のように「血色素量」と表示されることもあります。
この数値が、基準以下になった場合が貧血の一つの目安になります。
成人男性では、13g/dL以下
成人女性では、12g/dL 以下
つまり、貧血で息切れやだるさを感じるのは、酸素を運ぶ組織のヘモグロビンが血中に少なくなっているため、体内に十分な酸素が行き渡らなくなっているせいなのです。
貧血の種類には、以下のようなものがあります。
鉄欠乏症貧血 鉄分の不足によって、ヘモグロビンの生成力が低下することによって起きます。
再生不良性貧血 骨髄の造血幹細胞の機能不全によって、血液が生成できなくなって起こります。自己免疫の異常や薬剤などの副作用などが要因で発生します。
巨赤芽球性貧血 造血機能に不可欠なビタミンB12m、葉酸の不足によって起こります。
溶血性貧血 赤血球の破壊によって起こります。自己免疫の異常や発作性夜間ヘモグロビン尿症、遺伝性球状赤血球症などが原因のことが多いと言われています。
中でも貧血のほとんどは、鉄欠乏症貧血だと言われています。その原因には、
無理なダイエットによる鉄摂取不足
胃の切除手術などで鉄の吸収力が低下
子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科系の疾患による月経過多、潰瘍などの失血によって鉄の排泄量の増加
妊娠や授乳による鉄の必要量の増加
などが挙げられます。
特に女性の場合は、月経や妊娠、出産など、鉄分の欠如や需要の増大などの理由で、血が不足するケースが多く、男性よりも鉄欠乏症貧血に罹りやすい傾向にあります。
貧血のサイン
顔色が悪い
動悸息切れがする
疲れやすい
爪が割れやすい 貧血が進行して爪が薄くなると、弱くなった爪が外からの圧力に耐えきれなくなって、「スプーン状爪」と呼ばれる反り返る状態になることがあります。
スプーン状爪の一例 参照 RISE BOX
氷を無性に食べたくなる(氷食症) 正確な理由は解明されていませんが、貧血により自律神経に異常が生じて、体温調節が上手くいかず、口の体温を下げる目的で氷を欲してしまう、また、食欲中枢の異常などを招くと行った説があります。
ところで、
ヘモグロビン値は正常なのに、だるさや立ちくらみなど、貧血特有の症状が表れることがあります。
ヘモグロビン値だけでは分からない、隠れ貧血の原因
私たちの体には、ヘモグロビンの他にも、酸素の運搬に欠かせないフェリチンと呼ばれる物質が存在しています。フェリチンは、鉄を結合して貯蔵する働きをするタンパク質の一種です。肝臓や脾臓、骨髄などに分布していており、ヘモグロビンが不足した際に、代役として酸素を体内に供給する働きをしてくれます。また、ヘモグロビンが余った際には、フェリチンとして貯蔵されます。
ただ、体内の鉄が不足した際には、ヘモグロビンからではなく、このフェリチンの貯蔵から先に消費することなっています。
そのため、ヘモグロビン値が正常でもこのフェリチンが不足していることで貧血になる可能性があるのです。
成人女性のフェリチンの基準値は、6.4ng/dLから167.1ng/dL。
フェリチンが不足すると、ヘモグロビンと同様の動悸や息切れ、倦怠感、頭痛、冷えなどの貧血症状の他、セロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質が不足し、鬱のような精神疾患に陥ることもあります。また、フェリチンはコラーゲンの生成にも必須の栄養素であるため、不足すると、肌荒れや抜け毛の原因に繋がることも。
いずれにしても、鉄欠乏症貧血の場合、医療機関での治療の他、食事での自己管理が大事になってきます。
鉄の代謝
鉄は2/3が赤血球内ヘモグロビンとして、残りの1/3が貯蔵鉄として各臓器に存在しています。骨髄で作られた赤血球は、約4ヶ月で消滅、再生を繰り返しています。鉄は毎日、1.0~1.5mgが失われ、食事から同じほどの量が吸収されています。つまり、この代謝のための鉄分を日々の食事から取り入れることが大事なのです。
食生活からのアプローチ~貧血を予防改善してくれる食べ物~
鉄には、吸収率の高いヘム鉄と吸収率の低い非ヘム鉄があります。
ヘム鉄の吸収率は15~25%
牛肉、豚肉、鶏肉、内臓類、かつお、いわし、まぐろなど、血合いの多い魚などに含まれています。
非ヘム鉄の吸収率は2~5%
たまご、しじみ、あさりなどの貝類、ほうれん草、小松菜、ひじき、のりなどの海草類などに含まれてます。
非ヘム鉄は、ビタミンCを一緒に摂ることで、その吸収率が高められます。これらの食品を摂る際には、ビタミンCの豊富な果物や野菜を一緒に食べるのがおすすめです。
また、良質のタンパク質は、赤血球やヘモグロビンの材料にもなる栄養素なので、鉄分と同様、摂取することが大事です。
お茶に含まれる苦み成分のタンニンは、鉄の吸収を阻害することがあります。食事中や食後は、ほうじ茶や麦茶など、タンニンを含まないお茶を飲むように心がける必要があります。
厚生労働省が推奨している成人女性30歳代~60歳代の食事での1日あたりの鉄摂取基準は、約10.5mgで、上限は40mg。
成人男性30歳代~60歳代の基準は、約7.5mgで、上限は50~55mgです。
(参照 厚生労働省HP)
(参照 妊婦食事ng)
しかしながら、日々の食事だけで、この推奨摂取量をカバーするのは結構大変です。
例えば、ヘム鉄が豊富だとされる鶏レバーを1食分、50グラムを食べたとしても、鉄の含有量は4.5mgで、吸収率が最大25%だとしても実質的な摂取量はおよそ1mg少しにかなりません。成人女性の鉄の推奨摂取量が10.5mgであることからも、到底それだけでは追いつきません。3食工夫にしても、なかなか10mg以上を毎日摂取するのは難しいと言えます。
そこで登場するのがサプリメントです。
オススメ鉄分サプリメント
毎日の食事だけでは補えない鉄分を効率よく摂取出来ます。
ただ、市販の鉄剤は、人によっては飲みにくく感じることもあります。特に胃腸の弱い方の場合は、服用後に不調を感じるケースも少なくはなく、かえって胃腸障害を悪化させることもあります。
実は私も、以前、採血検査を受けた際に、かかりつけの医師から、ヘモグロビンの値が標準のぎりぎり境界線のラインで、これ以上症状が進めば貧血の治療の必要があると言われたことがありました。当時は、胃の疾患でその治療も受けていたため、錠剤ではなく、点滴での治療を勧められたのです。
その後、貧血に関して自分なりにいろいろ調べて、自己管理で食生活を改善に努めました。なるべくタンパク質やヘム鉄を多く含んだレバーなどの肉類を食べるようにし、胃に負担のかからない市販の鉄のサプリを飲むようにしたところ、数ヶ月で症状は改善しました。
私が貧血予防のために現在も継続して飲んでいるのはこちら。
オリヒロの「かんでおいしいチュアブル鉄+葉酸」です。
商品名の通り、口の中で噛んで服用するタイプなので、水の必要なく、いつでも気軽に利用することが出来ます。プルーン風味でとてもおいしく、飲み続けても飽きないのが気に入っています。胃弱体質の私ですが、こちらの服用で胃が痛くなったりしたことは一度もありません。
1日あたり2粒 8キロカロリー 鉄分が10.0mg含まれているほか、鉄分の吸収を助けるビタミンC50mgと「造血ビタミン」とも呼ばれてる葉酸200μgが含まれています。成人女性に必要な鉄分がこれ一つでほぼ補えます。
もちろん、貧血予防には、日頃の食生活を整え、栄養のバランスを考えた食事を摂ることが最も大切です。